
C&Rグループ健康保険組合
C&Rグループ健康保険組合
常務理事
Interview
C&Rグループ健康保険組合は、映像やゲーム、Web、広告など、さまざまな分野で活躍するプロフェッショナル・エージェンシー事業を展開する株式会社クリーク・アンド・リバー社を中核とするC&Rグループの単一健康保険組合。
組合員の半数以上が女性である同組合では、女性の健康を支援する様々な制度を導入されています。
今回は、常務理事の井坂様にあらためてお話を伺いました。
まずは、C&Rグループ様の理念と事業内容を教えてください。
クリーク・アンド・リバー社を筆頭としたC&Rグループは、グループ統括理念である「人の能力は、無限の可能性を秘めています。私たちは、その能力を最大限に引き出し、人と社会の幸せのために貢献します。」 に基づき、映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家、医療、IT、法曹、会計、建築、ファッション、食、AI/DX、舞台芸術、ライフサイエンス、アスリート、CXO、アグリカルチャーの18分野で活躍するプロフェッショナルを対象に、仕事の提供、プロジェクトの組成、著作権・知的財産の収益化、教育の機会等を通じて、プロフェッショナルの方々が持てる力を最大限に発揮できる環境を提供しています。
単一の健康保険組合である「C&Rグループ健康保険組合」の概要と特徴を教えてください。
まず、設立の経緯ですが、グループ社員の平均年齢が若く、20代・30代が中心となっており、扶養率も非常に低いので、加入者の年齢層が異なる総合の健康保険組合が実施している施策が当企業グループにはマッチしませんでした。 そのため、当企業グループにマッチした施策を実行できる独自の健康保険組合を設立することになりました。 8年前の設立時は約3,000人の組合員でスタートしましたが、現在は約6,000人と倍の加入者となっています。 特徴としては組合員の女性の割合が55%と過半数以上を占めており、女性の健康を支援するさまざまな施策を取り入れています。
女性の健康を支援するさまざまな施策について、導入されている制度やサービスの概要と、導入に至った経緯などを改めて教えてください。
有志の健康保険組合が自ら参画し、保険者機能の研究と具体的対策を結びつけ、被保険者・被扶養者の皆様のお役に立つような機能を強化しようと活動している「保険者機能を推進する会」という団体があります。 当健保は女性の割合が多く、組合員の女性の健康のことを考えるために保険者機能を推進する会の中にある「女性の健康研究会」に参加してみました。 そこで初めて知ったのが、更年期障害やPMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)といった概念でした。 私は全然知らなかったんです。 そういった月経関連の症状での経済損失がこんなにも大きくて、それ以前に、女性自身が自分のキャリアを諦めているということがもったいないと思いました。 出産・育児、更年期といったことで女性がキャリアを諦めていく、「なぜ女性ばかり諦めなければいけないんだろう」という疑問を持って、健康保険組合としても健康経営を協働して進める中で、積極的にできることをやっていこうと決めました。
実際に導入した施策について
まず、出産を迎える女性の7割が働いているという現実を踏まえ、その妊娠期間中のサポートを考えました。 ウェアラブル端末をつけて、助産師が妊産婦の状態を把握し出産までをサポートするといったサービスを導入しています。 また、プレゼンティーズムサーベイ(出勤しているが体調不良で生産性が低下している状態の調査)を実施したところ、女性の月経関連の課題が上位に来ていました。 そこで、女性の身体やココロに関する理解を深めるための専門医によるセミナーを実施後、オンライン診療で低用量ピルを処方し、その後の効果を検証するプログラムを導入しました。 低用量ピルの処方は、病気であると診断されれば医療保険の対象になりますが、通常は自由診療になります。それを健康保険組合が負担する形にして実施しました。
制度・サービスを導入されて、利用者様の実際の反応は如何でしょうか。
利用者にアンケートをとったところ、高評価を頂いています。 助産師によるサポートサービスについては、産前のサポートや産後うつ、生まれた後の乳幼児のトラブルまで相談できるといった点で評価を頂いていたり、会社としては大事な戦力の離職も防げるし、健康経営にも良い、本人だけでなく、会社側にとっても非常に良いサービスだと期待されています。 オンライン診療を利用して低用量ピル処方を行うプログラムについては、「眠気・だるさ・疲れやすい」「気分の落ち込み」「下腹部痛」などの業務に影響しそうなつらい症状も軽減された等、お声を頂きました。
女性の健康課題に関して、健康保険組合としてさらに拡充させたい内容・取り入れたい制度・サービスなどがあれば、教えてください。
健康保険組合は適切な医療を受けてもらい、健康を維持・増進していただく、その医療費の一部を負担するのが本来の役割です。 問診からオンライン診療につながり、自由診療ではなく医療費として診察を受けられるサービスを他の健康保険組合さまや専門医、フェムテック事業者と共同で作りました。 ゴールとしては、全女性社員に婦人科のかかりつけ医を持ってもらうことです。 女性として、自分の健康状態が本当に正しいのかどうかを知ってもらうことが一番大事だと思います。 2025年度6月よりこのサービスを導入しています。
HUGYOUプロジェクトにご賛同いただいたお気持ち、想いをぜひお聞かせください。
女性の健康課題は、もはや女性特有の問題ではなく、会社全体、社会全体の課題だと思います。 せっかく育った優秀な人が、女性特有の健康課題や出産・育児、更年期などで離脱してしまう、キャリアを諦めてしまうのは、会社にとってももったいないことです。 まずは、認知度を上げること自体が重要で、「こんなことを言っている人がいる」「こんなセミナーがある」ということを知ること自体が大事だと思います。 たまたま知ったから考えが変わって、という人が増えていけばいいと考えています。 女性の健康課題を解決することによって、社会全体がより良くなっていく。そんな社会を一緒に目指していけたらと考えています。